龍を大切に育てよう

 

 平成24年1月6日(金) 晴れ

 平成24年<壬辰(みずのえたつ、じんしん)>を迎えました。東日本大震災後の状況を考え、「あけましておめでとうございます」は控えさせていただきます。

 生徒の皆さん、保護者や地域の皆様には、健やかに新年を迎えられたことと、心からお慶び申し上げます。本年も、生徒一人ひとりが良さを伸ばし、あまりよくないところを改め、自信と誇りをもって生活・学習できるよう、教職員一同が努力してまいります。よろしくお願いいたします。

 さて、毎年元旦は、各紙まではいきませんが何紙かの新聞を読み比べることを楽しみにしています。ところが、今年は、「壬辰」という干支からきているのか、リーダーシップ論や、政治・経済の国内外の問題に目を向け、大きく動く年、何かを生み出す年といった記事が多かったように感じます。(「壬辰」は、妊む<はらむ>という意味をもつ「壬」と、「震える」や「動く」という意味をもつ「辰」の二文字が組み合わさったため。)

 さらに、辰(たつ)年は、たつ(龍)は天に昇るとされていることから、よいことがおきるとも言われています。重要な案件が、未来につながるようによい方向に変わったり、よいことが起こったりするよう願っています。

 ところで、昨年、被災地福島県の小学校で、「龍」についてとてもよい話をしてくださった方がいらっしゃいました。皆さん覚えていますか。

 そうです。ブータンのワンチュク国王です。

 「みさんは、龍を見たことがありますか。私は見たことがあります。」とおっしゃって小学生を驚かせました。

 続いて「私たちは『人格』という名の龍をもっています。龍は私たち一人ひとりの心の中に居て、『経験』を食べて成長します。だから、私たちは日増しに強くなるのです。年を重ねれば強くなる。自分の龍を鍛錬(たんれん)して、大切なのは感情などをコントロールすることです。私はブータンの人々にいつも、心のなかにいる一人ひとりの龍を大切に育てて欲しいと話しています。皆さんも、自分の心の中いる龍を大切に育てて下さい。」と話されました。

 この話は、ワンチュク国王の内側からにじみ出る優しさや思いやり、穏やかさ、そして人間としての品格をあらわしているように感じました。我々の生き方、人生というものの目指すべき方向を的確に示しているものと思いました。心が温かくなりました。辰年の今年、自らの心の内によい龍を育てたいものです。